天朗気清、画戲鑑賞

三元論を基軸とした論理学探求の旅路へ

技術は思考を変え、思考は組織を変え、組織は技術を変える

WHERE NO MAN HAS GONE BEFORE

私:1964年制作の『スタートレック』、「WHERE NO MAN HAS GONE BEFORE」のエピソードを簡単に紹介してくれる?

ChatGPT:『スタートレック』の1964年制作エピソード「WHERE NO MAN HAS GONE BEFORE」は、シリーズの初期のエピソードの一つで、後の「宇宙大作戦」として知られるシリーズの基盤を築きました。このエピソードでは、U.S.S.エンタープライズ号が銀河の未踏の境界を越える任務に就いています。この過程で、船は異常なエネルギー帯に遭遇し、二人のクルーメンバー、ゲイリー・ミッチェルとエリザベス・デナー博士が奇妙な影響を受けます。
このエネルギー帯の影響で、ミッチェルとデナー博士は驚異的な精神能力を身につけます。彼らの力は増大し続け、特にミッチェルは神に近い存在となり、乗組員やエンタープライズ号への脅威となります。キャプテン・ジェームズ・T・カークは、ミッチェルの力が制御不能になる前に行動を起こさなければならなくなります。
このエピソードは、スタートレックの基本テーマである人間性、権力の乱用、そして道徳的ジレンマを初期から提示しています。また、これはカーク船長やスポックなどのキャラクターにとって重要な発展の瞬間でもあります。

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 長い歴史を有するSFドラマ『スタートレック』シリーズにおいて、「転送装置(Transporter)」という道具(技術)が初めて登場するエピソードである。この転送装置とは筒型の空間を通じ、物体や人を分子レベルで分解・再構築する装置だ。A地点で物質を分子に変換して送信すると、B地点で分子を物質に再構築できる。我々の文化では『ドラえもん』シリーズに登場する「どこでもドア」が、このスタートレックの転送装置にもっとも近い装置になる。
 あきれるほど便利で魅力的な道具だけれど、当然ながら現時点における科学的な観点から言えばツッコミどころが満載だ。物理学者アインシュタインの質量とエネルギーの等価性に基づいて考えれば、我々の世界には「質量が消失すればエネルギーが発生し、エネルギーが消失すれば質量が発生する」という揺るぎない法則がある為、転送装置で人をバラバラの分子へ分解した際、想像を絶する莫大なエネルギーが放出される。仮に人間の体重を60〜90kgと仮定すると、その際のエネルギー量は「約10TJのエネルギーを有する原子爆弾の約1〜5万倍」となる。これだけのエネルギーをどのように収束するのか。技術的にはまったく理解のできない構造だ。
 もちろん、熱心なスタートレックファンはこうした謎の構造についても有り得そうな考察を施す事を忘れはしない。スタートレック世界にはよく「サブスペース」という異なる次元空間が登場する。そこに転送装置によって生じる莫大なエネルギーを放り投げるという方法があるのなら、エネルギーの行方不明問題は解決できるかもしれない。
 いや、しかしそもそも「人間を分子に分解する」という技術も完全なオーバーテクノロジーだ。FAX(紙の情報を電子信号に変えてその情報を電話線に流し、遠隔地でその情報を再構築して紙に戻す通信装置:20世紀後半に特に浸透した)の場合は極めてシンプルな情報ゆえに運用可能だが、人間の情報量はあまりに膨大だ。シナプス結合や遺伝情報、マイクロバイオームや神経系、そうした奇々怪界の複雑な情報群をどうやって処理するのだろうか。人間の情報量をすべて展開した場合、宇宙全体に存在する原子の数を遥かに超えるという見解もある。人間の頭、体、心をデジタル化する事は、現時点の技術水準では考える事すら不可能に近い。
 もっとも、技術的な課題があるとは言え、転送装置はやはり夢のある魅力的な空想技術である事は間違いがない。本当に存在したら人類はどうなるだろうと想像する事は実に楽しい。道具(技術)が変わると、思考(論理)が変わる。その思考(論理)が変わると、方法(組織)が変わる。方法(組織)が変わると、道具(技術)が変わる。私の三元論に基づくこの「文明循環」の流れが、転送装置の存在によって爆発的な速度で回る事になるだろう。
 尚、私の理論から言えば、この循環は全体的には先の方向(道具→論理→方法→道具→論理……)で進み続ける。但し、個別的には相乗的にお互いの領域の干渉が存在する。転送装置という道具も、予算の関係でスペースシャトルの上陸映像を気軽に作れなかった当時の制作陣の苦肉の策から誕生したものであり、それは思考から道具への逆回転による干渉であると言える。
 この文明循環によって弁証法的に文明の水準が向上する事もあれば、逆に下降する事もある。優れた道具が優れた思考を生み出すとは限らず、むしろそれは思考を消耗させ、結果として方法を不安定化させる事もある。方法が不安定になると道具の質も下がっていき、それに伴って思考が沈滞していく。文明循環の悪循環に気づいたのなら、道具、思考、方法のいずれの不具合部品を取り除き、別の部品と交換する必要がある。その部品は新しければ良いというわけではなく、古いものでも安定して使える部品が最善である。

 

※画像:DALL-E

 

作品紹介

 
著作紹介("佑中字"名義作品)
呑気好亭 華南夢録

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