天朗気清、画戲鑑賞

三元論を基軸とした論理学探求の旅路へ

鳥かごの外の耳触りなトンカチ

The Cage

私:1966年から1969年まで放送された『Star Trek(邦題:宇宙大作戦、通称:TOS)』を簡単に紹介してくれる?

 

ChatGPT:『スタートレック』(原題:Star Trek、日本では『宇宙大作戦』として知られ、通称:TOS=The Original Series)は、1966年から1969年までアメリカで放送されたテレビシリーズです。ジーン・ロッデンベリーによって創造されたこのシリーズは、23世紀を舞台に、宇宙艦隊の旗艦エンタープライズ号とその乗組員の冒険を描いています。

 

このシリーズは、キャプテン・ジェームズ・T・カーク(ウィリアム・シャトナー演)、スポック科学士官(レナード・ニモイ演)、医療主任のレナード・マッコイ(デフォレスト・ケリー演)など、多様なキャラクターが登場し、彼らが未知の惑星を探査し、外交的、科学的、道徳的な問題に立ち向かう様子が描かれます。

 

スタートレック』は、宇宙探索の理想と多文化主義の価値を映し出すことで知られ、その先進的なテーマと物語は、多くのファンを獲得し、サイエンスフィクションのジャンルにおいて画期的な作品とされています。シリーズ終了後も、多数の続編シリーズ、映画、書籍、ゲームなどが生み出され、スタートレックフランチャイズは今日まで続いています。

 

私:そのシリーズの中のエピソード「THE CAGE(歪んだ楽園)」を簡単に紹介してくれる?

 

ChatGPT:『スタートレック』シリーズの中のエピソード「THE CAGE(邦題:歪んだ楽園)」は、実際にはパイロットエピソードとして制作されたもので、シリーズが放送される前の1965年に製作されました。このエピソードは、シリーズが正式に開始された後には、異なる形で放送されることになります。

 

「THE CAGE」の主要なキャラクターは、後にキャプテン・カークとなる役割を果たすジェームズ・T・カークではなく、クリストファー・パイク船長(ジェフリー・ハンター演)です。パイク船長は、宇宙艦エンタープライズ号の初代船長として描かれています。

 

このエピソードの物語は、エンタープライズ号が、かつての宇宙船の生存者がいるとされる惑星タロスIVに派遣されるところから始まります。到着後、パイク船長はタロス星の住民に捕らえられ、彼らによって作られた幻想の中でさまざまな状況を体験させられます。タロス星人は、彼らの幻想能力を使ってパイク船長を誘惑し、自分たちの生態系の一部として利用しようとします。

 

「THE CAGE」は、その後のシリーズに影響を与える重要なテーマやコンセプトを導入しており、特に幻想と現実の区別、自由の重要性、心の葛藤などが扱われています。また、このエピソードに登場するシーンやキャラクターは、後のエピソード「The Menagerie」で再利用され、ストーリーに新たな次元を加えました。

 

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 このエピソードに登場する女優メイジェル・バレットは、このパイロットエピソード「THE CAGE」でナンバーワン(副長)を演じていた。彼女のキャラクターは非常に冷静で論理的な性格を有している。今でこそアメリカのエンターテイメント作品は女性の登場人物を意図的に活躍させているが、この作品が創られたのは1960年代。女性が主役級の存在感を放つなど、極めて稀有な事例だった。(ちなみに、スタートレック放送開始から3年後、バレットはスタートレックの生みの親、脚本家・監督のジーン・ロッデンベリーと結婚する。結婚式は日本の明治神宮で執り行われた。ロッデンベリーのバレット起用に異性に対する関心と忖度が関わっていたのかどうか私には不明だが、その点を否定する事は不可能だろう。だが彼がこの作品で新しい多様性を描きたいと強く考えていた事は確かだ。)

 この女性の主役級起用に対して、パイロット版を目にした当時のテレビ局NBCの幹部たちから反対の声が挙がった。新参者であるロッデンベリーたち製作陣がこれに完全に反発する事は出来ず、結局「大きな責任と能力を持って職務にまっとうする女性副長」は、「恋に悩む看護士クリスチャン・チャペル」に変更されてしまった。ただ、この幹部たちの判断を「義を見ず勇無き者たち」と安易に批判する事は出来ない。テレビ局にとって作品とは芸術であると共に商品でもある。世間に商品が売れなければ、彼らは給与を貰えない。その時代、その社会、その国家に根ざす社会通念にはある程度の寄り添いを示す必要がある。

 私の三元論は、人間の本能を「生存欲求(生きたい、身体的に健やかでありたい)」「知的欲求(知りたい、精神的に健やかでありたい)」「存在欲求(繋がりたい、関係的に健やかでありたい)」と定め、これらの暴走による対立・衝突・分断の不具合抑制する為の国家運営上のプログラムを「法律」「教育」「美徳」であるとしている。視覚的な映像作品はこの「美徳」に大きな影響を与える重要な文化要素の一事項であり、それゆえに社会通念に変容を与える描写には極めて慎重な配慮を行わなければならない。時にはジャンクフードのような文化を吸収するのも良いが、基本的に我々の魂に必要な栄養素は社会通念の道理に従った上質な文化である。何でもかんでも好き勝手な事を訴えれば良いという訳ではない。

 その点を鑑みると、私は2017年から新シリーズが開始した『スタートレックディスカバリー』を高く評価出来ない。この作品はあまりに女性の活躍が露骨過ぎるのだ。女性乗員が一気に"蔓延した"理由について、一言で良いから作中で説明が欲しい所だ。例えば現実世界におけるルワンダのように、「地球・ロミュラン戦争の被害により一時的に男性個体数が少ない世代があり、女性の進出が躍進した」という説明が可能であったかもしれない。(ルワンダは1994年に部族間で起きた大虐殺により男性の人口が極端に減少し、それが女性の政界進出へと繋がった。現在、議員の約6割が女性であり、これは統計上世界一の割合である。)

 ディスカバリーはLGBTQの要素も非常に強烈であり、「男性同士、女性同士が愛し合うのは当たり前である」という「美徳の正解」を徹底的に作品に盛り込んでいる。いわゆる"ポリコレ(Political Correctness)"の色彩が極めて強いのだ。しかし、社会通念において、その美徳は正解であるかどうか分からない状態である。多くの人々の中に組み込まれている特定の美徳に対してアンチテーゼを唱えたい場合、「正解の押し付け」ではなく「議論の展開」を描くべきだ。

 私たちは「法律」「教育」「美徳」の"CAGE(鳥かご)"の中で、お互いの安全性を保っている。もしそのCAGEの形を変えたいというのなら、外側からひとりで耳障りなトンカチで叩き続けるのではなく、中側から皆でゆっくりと押し広げる必要がある。

 

※画像:DALL-E

 
作品紹介
 
著作紹介("佑中字"名義作品)
呑気好亭 華南夢録

呑気好亭 華南夢録

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