天朗気清、画戲鑑賞

三元論を基軸とした論理学探求の旅路へ

ウィンガーディアム・レヴィオーサ

The Last Airbender

私:2010年の映画『The Last Airbender(邦題:エアベンダー)』を簡単に紹介してくれる?

 

ChatGPT:もちろんです。2010年の映画『The Last Airbender』は、M.ナイト・シャマランが監督したアメリカのファンタジー映画です。この映画は、人気のあるアニメシリーズ『アバター 伝説の少年アン』を基にしています。

 

物語は、四つの元素(水、土、火、空気)を操ることができる特別な能力を持つ「ベンダー」と呼ばれる人々の世界を舞台にしています。主人公のアンは、「アバター」として知られる唯一の人物で、全ての元素を操ることができます。彼は、火の国による支配と戦争を終わらせるために、自身の能力を学び、成長していく過程を描いています。

 

映画では、アンと彼の仲間たちが火の国の支配に抵抗し、平和をもたらそうとする冒険が描かれています。しかし、この映画は批評家からの評価はあまり高くなく、特にストーリーテリングやキャラクター開発に関して批判されました。それにもかかわらず、ビジュアルエフェクトやアクションシーンは一定の評価を受けました。

 

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 2024年、英国BBC製作のNetflix独占ドキュメンタリー映画『Einstein and the Bomb(アインシュタインと原爆)』のあまりの品質の低さに度肝を抜かれてしまった。Wikipediaよりも薄い内容。映画としての演出や構成にも何の特異点もない。歴史も人物もほとんど掘り下げがなく、そもそも「原爆」に関する描写は数分程度。アカデミー賞を控えていた映画『オッペンハイマー』の関心を高める為だけのマーケティング作品だろうか。その『オッペンハイマー』のマーケティングも日本の原爆被害を揶揄する冗談に加担して大炎上したり、アカデミー賞授与式で出演者の俳優ロバート・ダウニー・Jr.がアジア人を差別したりと、もう散々だ。繊細な文脈を持つ実話や主題を描く作品は、関係者全員が技術と精神と感性を一般作品以上に研ぎ澄まなければならず、それが出来ないのあれば作品製作の資格は無い。(前者の『アインシュタインと原爆』は一見の価値にも値しない。十数分の解説系Youtube動画を鑑賞する方がまだましである。尚、同じBBC製作『世界に衝撃を与えた日』シリーズの第9巻「マンハッタン計画の始まりとチェルノブイリ原発事故」は密度の高いドキュメンタリー作品になっている。そちらの方は鑑賞の価値が十分にある。また、原爆開発者のオッペンハイマーの苦悩という主題については、『スタートレックボイジャー』のシーズン1エピソード14『Jetrel(メトリロン殺人兵器)』でメタファーとして比較的丁寧に描かれており、そちらの方が十分に考えさせてくれる。『オッペンハイマー』は映画として面白くないとは言わないが、学術的視点から鑑みると別段特筆するべき点は無い凡作である。)

 魂がジャンクフードを食べてしまって精細が欠けてしまった時は、同じようなジャンクフードでも美味しく感じるかもしれない。「The best sauce for food is hunger.(空腹は最大の調味料)」方式で、今こそ過去に鑑賞して驚くほど退屈だった映画に再挑戦してみるべきだと考えた。そこで頭にパッと浮かんできた作品が、『シックス・センス』を代表作とするM・ナイト・シャマラン監督の『エアベンダー』だ。各国の映画通から「作品を発表すればするほど映画の品質が下がっていく」という独特の評価を受けるシャマラン監督の第10作目。当時、めざましテレビで取材を受けたシャマラン監督が「映画に登場する獣は『となりのトトロ』の猫バスから着想を得たんだよ!」と得意顔で語っていた光景が脳裏に浮かぶ本作。Imdb10点中4点台、ラジー賞(最悪の映画に送られる賞)12部門ノミネート8部門受賞。先の取るに足らないBBC作品を鑑賞した後にこの作品を鑑賞するとどうなるのか──結果、不味いものはどんな状況でも不味かった。私はイタリア人がコロナ禍であってもパイナップル入りの冷凍ピザを頑なに購入しなかった矜持を思い出すべきであった。魂には余計な栄養素を入れるべきではない。寝る前に口直しとしてドストエフスキーの本を開こう。(一応、シャマラン監督の擁護をしておくと、彼は本作と『アフター・アース』を自身最低の作品であると素直に認めている。)

 このままでは本記事もまるで中身の無いものとなるので、何とか新しい価値を生み出すべく、私の三元論に基づく超常的な能力の類型について記しておく事にしよう。魔法、超能力、方術、呪術、念力など、フィクション作品に登場する「人間を超える力」には「物理的干渉」「精神的干渉」「存在的干渉」の三要素によって構成されていると私は考える。「物理的干渉」とは現実世界の事物に影響を与えるものであり、女優エマ・ワトソン演じる魔女ハーマイオニーの詠唱場面が印象深い『ハリー・ポッター』シリーズの魔法「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」のような事物の浮遊や移動を行う性質を有する。「精神的干渉」とは人間の記憶や感情などの認識能力に影響を与えるものであり、『ハリー・ポッター』の魔女ベアトリックスが用いた禁断の呪文「クルーシオ」のような内在的な概念や観念を操作する性質を有する。「存在的干渉」とは空間や時間など世界の成り立ちに必要な次元的現象に影響を与えるものであり、これは『ハリー・ポッター』の「逆転時計」のような事象に可逆性を与える性質を有する。

 この三要素の最も簡易的な組み合わせは以下の通りである。

 

弱い物理的干渉・弱い精神的干渉・弱い存在的干渉

弱い物理的干渉・強い精神的干渉・弱い存在的干渉

弱い物理的干渉・弱い精神的干渉・強い存在的干渉

弱い物理的干渉・強い精神的干渉・強い存在的干渉

強い物理的干渉・弱い精神的干渉・弱い存在的干渉

強い物理的干渉・強い精神的干渉・弱い存在的干渉

強い物理的干渉・弱い精神的干渉・強い存在的干渉

強い物理的干渉・強い精神的干渉・強い存在的干渉

 

 この三元論による八事項への分類は、各事項を強弱の二段階に設定する事によって2x2x2(8通り)の組み合わせとなる。各事項を三段階にすれば3x3x3(27通り)となり、四段階とすれば4x4x4(64通り)となり、五段階とすれば5x5x5(125通り)となる。六段階以降も無限の細分化が可能であるが、実用面を鑑みると五段階までが適正であると思われる。私が人間の性質を分析にするに当たって設定する「感情箱」と呼ぶ類型も、この五段階の組み合わせを用いている。

 

※画像:DALL-E

 

作品紹介

 

著作紹介("佑中字"名義作品)
呑気好亭 華南夢録

呑気好亭 華南夢録

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