天朗気清、画戲鑑賞

三元論を基軸とした論理学探求の旅路へ

【機胡録(水滸伝+α)制作メモ 044】裴宣

裴宣

※補足1:生成画像は全てDALL-E(Ver.4o)を利用している。

※補足2:メモ情報は百度百科及び中国の関連文献等を整理したものである。

※補足3:主要な固有名詞は日本訓読みと中国拼音を各箇所に当てている。

 

-------------------------

水滸伝水滸伝/shuǐ hǔ zhuàn)』の概要とあらすじ:中国の明王朝の時代に編纂された、宋王朝の時代を題材とした歴史エンターテイメント物語。政治腐敗によって疲弊した社会の中で、様々な才能・良識・美徳を有する英傑たちが数奇な運命に導かれながら続々と梁山泊(りょうざんぱく/liáng shān bó:山東省西部)に結集。この集団が各地の勢力と対峙しながら、やがて宋江(そうこう/sòng jiāng)を指導者とした108名の頭目を主軸とする数万人規模の勢力へと成長。宋王朝との衝突後に招安(しょうあん/zhāo ān:罪の帳消しと王朝軍への帰属)を受けた後、国内の反乱分子や国外の異民族の制圧に繰り出す。『水滸伝』は一種の悲劇性を帯びた物語として幕を閉じる。物語が爆発的な人気を博した事から、別の作者による様々な続編も製作された。例えば、『水滸後伝(すいここうでん/shuǐ hǔ hòu zhuàn)』は梁山泊軍の生存者に焦点を当てた快刀乱麻の活劇を、『蕩寇志(とうこうし/dàng kòu zhì)』は朝廷側に焦点を当てた梁山泊軍壊滅の悲劇を描いた。

-------------------------

 

裴宣(はいせん/péi xuān)

 

<三元論に基づく個性判定>

9番 **とても強い生存欲求**、**弱い知的欲求**、**とても強い存在欲求** - **「力強い仲介者」** - 人と人を結びつける力に長け、物理的な活動を通じて他者と強く関わる。

 

<概要>

裴宣(はいせん/péi xuān)、あだ名は「鉄面孔目」。かつて六案孔目(孔目:文章関連の事務官)を務めていたが、あまりに実直な性格ゆえに悪徳上官と衝突。悪徳上官が策謀を用いて彼に罪を着せた為、彼の沙門島の流刑処分が決定。流刑地への移送最中、飲馬川で山賊勢力を率いていた鄧飛(とうひ/dèng fēi)と孟康(もうこう/mèng kāng)に救出され、落草。鄧飛(とうひ/dèng fēi)と孟康(もうこう/mèng kāng)は年長者である裴宣(はいせん/péi xuān)を敬い、彼に山賊勢力の寨主(第一頭領)の座を譲った。裴宣(はいせん/péi xuān)は刀筆の技に優れる一方で、双剣の使い手でもあり、その文武両道の性質から大いに一目を置かれた。その後、戴宗(たいそう/dài zōng)との知己を得て、彼らは梁山泊勢力に合流。百八人の英傑が集結した際、裴宣(はいせん/péi xuān)は序列第47位に定まり、「賞罰査定軍政管理」に任じられた。最終戦となる方臘(ほうろう/fāng là)の征伐戦後、朝廷から武奕郎・都統領の地位を獲得。しかし、彼は役人としての生活からすぐに離脱。官職を辞して飲馬川に戻り、静かな日々を送った。

 

<忠義堂の左側にいる四名の才文人

晁盖(ちょうがい/cháo gài)の戦死を受け、宋江(そうこう/sòng jiāng)が梁山泊勢力の寨主を継いだ時、山頂にある聚義庁(司令本部)を「忠義堂」に改名したのが裴宣(はいせん/péi xuān)だ。この忠義堂には序列や役職に応じた「自分の席」が定められており、裴宣(はいせん/péi xuān)は左側にいた。彼の周辺にいたのは、蕭讓(しょうじょう/xiāo ràng:書道の達人)、金大堅(きんだいけん/jīn dà jiān:彫刻の達人)、蔣敬(しょうけい/jiǎng jìng:計算の達人)。裴宣(はいせん/péi xuān)は「事務の達人」。この四名は特異な文化系能力によって梁山泊勢力の運営を底支えした文人たちであった。

 

<原型と評価>

原作の描写によれば、裴宣(はいせん/péi xuān)は肉付きが良く肥満体で、四平八穏な容姿をしているという。画像生成では「肥満」の設定を上手く反映させる事が出来なかったが、私が裴宣(はいせん/péi xuān)に向けるイメージは掲載した参考画像に非常に近い。尚、彼は宋元時代の史料には見られず、『大宋宣和遺事』や『宋江三十六人賛』などの初期の水滸伝の物語や文学作品にも存在しない為、小説『水滸伝』の制作時に生まれた完全な創作キャラクターのようだ。

 

- 後世の読者たち:「彼の剛直な性格は、梁山泊勢力における仁義を象徴するような部分がある。」

 

<印象>

私が考える限り、裴宣(はいせん/péi xuān)の役人時代のスタイルは正義感と尚古主義(伝統的な規範・良識・美徳を尊ぶ思考型:中国の朝廷では特に儒学と祖法を尊ばれた)を徹底し、地位を問わずに「間違った事を間違っている」と諫言する勇敢な功臣であったに違いない。つまり、彼は実在の范仲淹(はんちゅうえん/fàn zhòng yān:仁宗の治世において活躍した官僚)に似た人であったように思う。こうした規範・良識・美徳を有する清らかで才能のある人物は、悪意ある人間にとっては排除するべき敵とみなされ、善意ある人間にとっては重宝するべき味方とみなされるものだ。裴宣(はいせん/péi xuān)は朝廷時代には敵とみなされたが、梁山泊時代には味方とみなされただろう。後世の考察によっては「裴宣(はいせん/péi xuān)の『賞罰査定軍政管理』という役職が名ばかりのものだったのではないか」という説もあるが、私はそうは思わない。彼は大規模な梁山泊勢力における総合マネジメント職を貫徹し、この組織の運営に多大な貢献を果たしたと私は考える。

 

<三元論に基づく特殊技能>

#### 適材適所(導術)

**説明**: 裴宣は、的確な人事と賞罰の管理体制の提示により、個別の人員の向上心や帰属意識を高める能力「適材適所」を持っている。この導術は、彼の高い判断力に基づき、組織全体の効率性と士気を向上させる力を発揮する。

- **効果**:

  - **道具性(なし)**: この導術は、道具に依存せず、裴宣の精神的な力と管理能力に基づく。

  - **思考性(中程度)**: 人事と賞罰を効果的に管理するためには、高い判断力と組織運営の知識が必要。

  - **関係性(とても濃い)**: 裴宣の導術は、仲間たちとの信頼関係を強化し、組織全体の結束力を高める。

 

#### 具体的な使用例:

  1. **適材適所の配置**: 裴宣は、各個人の能力と適性を見極め、最適な役割に配置することで、個々の力量を最大化する。
  2. **公平な賞罰**: 裴宣は、公正な賞罰の管理体制を確立し、仲間たちの向上心と帰属意識を高める。

 

※画像:DALL-E

 

作品紹介

 

著作紹介("佑中字"名義作品)
呑気好亭 華南夢録

呑気好亭 華南夢録

Amazon