天朗気清、画戲鑑賞

三元論を基軸とした論理学探求の旅路へ

誰だって失敗するんだ?

21 Jump Street

私: 1987年から1991年までに放映されたアメリカのテレビドラマシリーズ『21 Jump Street(21ジャンプストリート)』を簡単に紹介してくれる?

 

ChatGPT:もちろんです!『21 Jump Street』(21ジャンプストリート)は、1987年から1991年までアメリカで放送されたテレビドラマシリーズです。このシリーズは、若く見える警官たちが高校生に変装し、青少年関連の犯罪を捜査するという内容です。 主な登場人物は、ジョニー・デップ演じるトム・ハンセン刑事やピーター・デルイーズ演じるダグ・ペニホール刑事など。

 

彼らは、21ジャンプストリートにある古い教会を拠点として、さまざまな事件に取り組みます。シリーズは、若者の問題や社会問題を扱いつつ、アクションとドラマの要素を巧みに組み合わせたことで人気を博しました。また、このドラマはジョニー・デップのキャリアを飛躍的に押し上げるきっかけともなりました。

 

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 俳優ジョニー・デップのキャリアを押し上げた作品で、「高校生に扮した捜査官が学生達に交じって捜査を行う」という設定が非常に分かりやすい。2012年、2014年にはリメイクの映画版が制作されている。若きデップの存在感はその後に発揮する強烈なものでは無いが、実直で一本気な演技がとても作品に合っている。ここから約25年後に元妻と泥沼の裁判劇を繰り広げる方と同一人物だとは思えないぐらい爽やかな雰囲気だ。尚、彼らが演じる「学生潜入捜査集団」はフィクションではなく、カリフォルニアに実在する組織である。

 この作品の第2話の最後で語られている言葉は、落ち込んでいる若者たちを勇気づけるさりげない優しさと人生の教訓が込められているかもしれない。デップ演じるトム・ハンソン捜査官が、間接的に薬物売買に関わってしまった高校生ケニーに次の言葉を投げかける。

 

-Look, Kenny, you know, a guy messes up once, it doesn't mean his whole life is over. Happens to everybody.(なぁ、ケニー、誰だって失敗するんだ。一度の失敗で人生が終わるわけじゃない。誰でもあることさ。)

 -Ever happend to you?(あなたにもそういう事があるんですか?)

 -All time. You take care of yourself, OK?(いつだってそうさ。じゃあな、体に気をつけるんだぜ。)

 

 普段の会話としては完璧に成立していて、これほど温かな言葉もないだろう。ただし、論理学的にはもう少々補足が必要な言葉ではある。我々にとって重要なのは、失敗を必要以上に気に病むな(失敗に対して必要以上に真剣に向き合う必要はない)という事ではなく、失敗を認めてそこからどう立ち直るか考えろ(失敗と真剣に向き合え)という事なのだ。したがって厳密に言えば、トム捜査官の言葉は物の摂理と真逆である。そこに人情はあるが、思慮深さは無い。

 これについては以前の記事でも取り上げた、中華世界の論理学者である孔子の言葉が想起される。

 

子曰, 「過而不改、是謂過矣。」

孔子先生はこう言った。「過ちを改めない事、それを過ちと言うのだ。」

──『論語』衛霊公第十五

 

 過ちを過ちと認めない者は、特に社会的地位が高い者に多い。なぜなら、彼らにとっての失敗は、そこまで積み重ねた自分の成功を粉々に破壊するものであると恐怖するからだ。近年インターネットを中心に流行したアクションゲーム『Getting Over It with Bennett Foddy(通称「壺男」)』や『Only Up!』を想起してみると良い。重圧にまみれた様々な階段を血のにじむような想いで上り続けた者にとっての絶望は、自分がどこかで躓いて最初の地点まで落下する事である。残念な事に彼らは登れば登るほど、成功に対する充足感よりも失敗に対する恐怖の方が肥大していく傾向にある。

 社会的な成功を収めた者の失敗に対する恐怖は、健康的な成功、精神的な成功を重ねた者よりも顕著である。それは健康や精神とは違って、社会の評価は一度失えばそれを修復するまでに途方もない時間が掛かるからである。信頼を得るのはたやすいが、失うのは本当に簡単だ。それが分かっているのに、彼らは常に恐怖によって対処を間違えてしまう。彼らはいつだって虚偽と捏造と隠伏を駆使して嵐が過ぎ去るのを待とうとするが、そうしている間に信頼の貯金は1秒ごとに大きく消失し続ける。

 失敗をした時に自分がそれを認める事で、落下地点を最小限に抑える事が出来る。それなら失敗から立ち上がり、再び信頼を得る道も短くなる。これは社会的な成功をした者にとっての金言である。

 

余談:ポリネシア系の血筋を持つ格闘家出身の俳優ドウェイン・ジョンソン。彼が2019年2月23日にツイッター(現X)でポストしたコメント。彼は高校時代に潜入捜査官だと思われていた。

 

😂👍🏾 Nice trip down memory lane. And yes, very true story when I moved from Hawaii to Nashville, I was already 6’4 225lbs with a pornstache at 15yrs old — and the students in my new high school thought I was an undercover cop. All the lovely ladies stayed far away from me 😭🤦🏽‍♂️

 

😂👍🏾(Page six TVのドウェイン・ジョンソン特集動画を観て) 懐かしい思い出に浸ったよ。それでこれは本当の話だけど、ハワイからナッシュビルに引っ越したとき、私はすでに15歳で6'4(193cm)で225ポンド(102kg)の体重があって、ポルノスタッシュ(ポスノスターが生やしているような濃いひげ)を生やしていたんだ。 — で、私の新しい高校の生徒たちは私を覆面の警察だと思っていた。すべての素敵な女の子たちは私から遠ざかっていたのさ😭🤦🏽‍♂️

 

※画像:DALL-E

※画像:DALL-E

 

作品紹介

 

著作紹介("佑中字"名義作品)
呑気好亭 華南夢録

呑気好亭 華南夢録

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