天朗気清、画戲鑑賞

三元論を基軸とした論理学探求の旅路へ

ハリウッド映画における最初の犠牲は論理的思考である。

5 Days of War

私:2011年のアメリカ映画『5 Days of War(邦題:5デイズ)』を簡単に紹介してくれる?

 

ChatGPT:2011年のアメリカ映画『5 Days of War』(邦題:『5デイズ』)は、ジョージアとロシアの間で実際に起こった2008年の南オセチア紛争を背景にした戦争映画です。この映画は、レニー・ハーリンが監督し、ラスタ・トーマス、エミール・ハーシュ、リチャード・コイル、アンディ・ガルシアヴァル・キルマーなどが出演しています。

映画は、ジョージアに派遣されたアメリカ人ジャーナリストとカメラマンが主人公で、彼らが紛争の実情を世界に伝えるために奮闘する姿が描かれています。アンディ・ガルシアジョージアの大統領ミヘイル・サアカシュヴィリを演じており、映画は彼の視点からも物語が進行します。映画は、戦争の悲惨さやメディアの役割、国際政治の複雑さをリアルに表現していると評価されています。

 

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"The first casualty of war is truth"

「戦争における最初の犠牲は真実である」

 

 1918年のアメリカ上院議員ハイラム・ジョンソン(Haram Johnson)の言葉が冒頭のエピグラフとして登場する戦争作品。南オセチア紛争を舞台とした真摯な史実映画かと思いきや、真面目なのは冒頭とエンドロールのみ。実質的には"SDカード争奪戦"という珍妙で軽率な命題を主軸に据えた大雑把な米国活劇だ。(レニー・ハーリン監督は『ダイハード2』『クリフハンガー』などで有名なアクション監督。)

 この手の映画はアメリカが善、ロシアが悪。主人公側は『罪と罰』のロージャ宜しく"殺しのライセンス"を持つ正義の執行者、敵側は残虐に人々を惨殺する"最恐のヴィラン"、敵から虐げられる者は何の罪も無いのに敵に生命を脅かされる"可哀そうな小人達"。ついでに、小人達の中にはとても綺麗で若い女性がいて、主人公側にいる男性がその女性を救ってあげて恋人になるなんて展開も好まれる。

 このような論理的な考察のしようもない作品群は、頭空っぽ状態で鑑賞するのなら全く問題が無くて心地良い、少しでも疑問を持って臨むと途端に人物の描写や物語の展開に苛立ちを覚えて来る。私は往年のハリウッド映画が大いに好きだが、やはり本作のような徹底した勧善懲悪のポリコレアクションは辟易する所だ。ちなみに、上述のジョンソン議員は反日運動の推進者であったので、その点でも感情的には好ましくない。

 という訳で、私はこう言いたい。

 

"In Hollywood movies, the first casualty is logical thinking."

「ハリウッド映画における最初の犠牲は論理的思考である。」

 

 私は太平洋戦争が終戦する間際に起きたロシア軍による残虐非道の行為の数々を身内の話として耳に出来た世代だし、歴史的・現実的な事実としても彼らの政治的・軍事的な強行姿勢は明らかなので、彼らが善意ある者であるとは思っていない。むしろ真逆である。にも関わらず、本作の南オセチア紛争におけるジョージアに問題が無かったとは言い切れない。紛争とは常に争い合う両者に問題があるのである。(もちろん、衝突に関する責任の比率は変わってくるが、原因については両者に問題がある事は間違いない。)

 国家同士の衝突は、夫婦の離婚を巡る対立と構造がよく似ている。私が分析する限り、国家においても夫婦においても、両者が衝突と断絶に至る要素は「物理的問題」「精神的問題」「環境的問題」によって構成される。「物理的問題」とは直接的・暴力的な危害が招く問題である。「精神的問題」とは価値観・信条・趣向などの精神上の相違による相互理解の欠如が招く問題である。「環境的問題」とは、経済・地位・関係などの環境上の不具合が招く問題である。これらの基本類型は以下の通りとなる。

 

弱い物理的問題・弱い精神的問題・弱い環境的問題

弱い物理的問題・強い精神的問題・弱い環境的問題

弱い物理的問題・弱い精神的問題・強い環境的問題

弱い物理的問題・強い精神的問題・強い環境的問題

強い物理的問題・弱い精神的問題・弱い環境的問題

強い物理的問題・強い精神的問題・弱い環境的問題

強い物理的問題・弱い精神的問題・強い環境的問題

強い物理的問題・強い精神的問題・強い環境的問題

 

 「物理的問題」は「規則(定義の共有)」により、「精神的問題」は「教育(知識の共有)」により、「環境的問題」は「美徳(理解の共有)」によって解決できる可能性がある。強い問題ほど解決には時間が掛かる。国家の衝突に限定すれば、私が考える限り、強い問題は「意図的に世代をまたぐ(30年間の冷却期間を置く)」必要があり、その後に解決へ向けた取り組みを行うべきである。強い問題を有する両者の熱が解決の取り組みを常に歪めてしまうからである。

 

※画像:DALL-E

 

作品紹介

 

著作紹介("佑中字"名義作品)
呑気好亭 華南夢録

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