天朗気清、画戲鑑賞

三元論を基軸とした論理学探求の旅路へ

儚い希望の光がもたらす失望の影

Seven Pounds

私:2008年のアメリカ映画『Seven Pounds(邦題:7つの贈り物)』を簡単に紹介してくれる?

 

ChatGPT:2008年のアメリカ映画『Seven Pounds(邦題:7つの贈り物)』は、ウィル・スミス主演のドラマ映画です。この映画は、深刻な秘密を抱えた男性、ベン・トーマス(ウィル・スミス演)の物語を描いています。

 

ベンは、過去のある悲劇的な出来事に深く苦しんでおり、その罪悪感から7人の見知らぬ人々の人生を劇的に変えることを決意します。彼はそれぞれの人々に自分の方法で「贈り物」を与え、彼らの人生を改善しようとします。しかし、この過程で彼はロザリオ・ドーソン演じる心臓病を患う女性、エミリー・ポサと恋に落ちます。

 

映画は、ベンの行動の動機と彼が取る究極の行動を徐々に明らかにしていきます。『Seven Pounds』は、贖罪、愛、犠牲、そして人間性の深淵を探る感動的な物語です。監督はガブリエレ・ムッチーノ、脚本はグラント・ニーポートが務めています。

 

------------------------------

 ウィリアム・シェイクスピア作『ヴェニスの商人』を想起する題名。(物語はユダヤの金貸しシャイロックが"胸の肉1ポンド"を担保として、主人公アントニオに大金を貸す場面から幕を開ける。)これが実話であったら何とも心が打たれる作品だが、あくまでも創作。斜に構えて見れば、よくある結末ありきのご都合感動物語だ。

 臓器提供に関する倫理問題は、医療世界で臓器移植という選択肢が登場した段階から様々な角度から争議されている所である。「突然の事故や植物状態などにより当人の意思が確認できない状況において臓器提供が許されるべきか」「違法な臓器売買は命を救うという視点から許されるべきか」「そもそも人間の身体同一性という聖域を犯して良いのか」など、必ず医療ドラマでも大きおな命題として描かれる。

 人間はどのような状況であっても生存の選択肢があればそれを享受したいと願う。それは本能である。しかし、その選択肢という希望が新たな失望の影を生む事も多い。臓器提供ほか、最先端医療を受けられる人間は非常に限られる。生存方法が存在するのに身体・経済・環境等の事由によりそれを受ける事が出来ないとしたら、その失望はあまりに大きい。

 ドストエフスキーの『罪と罰』において、ロージャは「自分が破滅する事が分かっているのなら、どうしてそれを先延ばしにする?」とソーニャに問いかける。最初から破滅を受け入れていて、その破滅を免れる方法が無いことが確実であったら、むしろそれは心を煩わすものではないのかもしれない。希望がなければ失望もないのだ。それでも、やはり我々はどのような状況でも願い続けるのだ。生きたい、と。

 科学が果たして希望を生んでいるのかどうか、それは分からない。儚い希望を生んだ分だけ、それを手に出来ない失望を生んでいるのかもしれない。しかし、それでも人間は科学にせよ、論理にせよ、生き続ける方法を探し続ける。それはそう在るべきなのである。

 ただし、果てしない生存欲求は自らが生き残る為に他者を傷つける事もある。芥川龍之介の『羅生門』のように。この生存欲求を伴う闘争は、社会が規則、教育、美徳による制御を行わなければならない。

 

※画像:DALL-E

 

作品紹介

7つの贈り物 MPD [Blu-ray]

7つの贈り物 MPD [Blu-ray]

  • ウィル・スミス
Amazon

 

著作紹介("佑中字"名義作品)
呑気好亭 華南夢録

呑気好亭 華南夢録

Amazon