私:2019年製作の映画『Ford v Ferrari(邦題:フォードvsフェラーリ)』を簡単に紹介してくれる?
ChatGPT:『Ford v Ferrari』(邦題:フォードvsフェラーリ)は、2019年に公開されたアメリカの伝記スポーツドラマ映画です。監督はジェームズ・マンゴールドが務め、主演にはマット・デイモンとクリスチャン・ベールがいます。この映画は、1960年代の実際の出来事に基づいており、アメリカの自動車メーカーであるフォードがイタリアの名門レーシングカー製造会社フェラーリに挑む物語を描いています。
物語の中心には、フォードのために革新的なレースカー「フォードGT40」を開発することになるキャロル・シェルビー(マット・デイモン演)と、その車をドライブすることになる熟練のレーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベール演)の関係があります。彼らは様々な技術的および個人的な障害に直面しながらも、1966年のル・マン24時間レースでの勝利を目指します。
『Ford v Ferrari』は、そのドラマチックなレースシーンと深い人間ドラマで高く評価され、アカデミー賞でも複数のノミネートを受けました。この映画は、自動車レースの興奮と、それを取り巻くビジネスとの複雑な関係を巧みに描いています。
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本作は事実に基づく娯楽作品としては至高の域まで達しているが、二つの点が実に気に食わない。一点目は、アメリカの映画やドラマでよく描かれる「Speaking While Chewing(食べ物を口に入れたまま喋る)」の演技だ。気づいた方も多いと思うが、キャロル・シェルビー演じる俳優マット・デイモンはほとんど全ての場面において食べ物・飲み物・ガム等を口に含み、もぐもぐとヤギのように口を動かしながら喋り続けている。本当にこの表現はみっともなく汚らしく、そして無礼だ。俳優ブラッド・ピットもよくこの表現をする印象があるが、個人的には生理レベルで受け付ける事が出来ない。現実世界ではそこまで気にならないとは思うが、映画でクローズアップされて映し出されると虫唾が走る。どうかお願いだから、「食べながらしゃべる」ではなく「食べてから話す」ようにしてくれ。(私はマット・デイモンもブラッド・ピットも好きだ。しかし、この"もぐもぐ演技"だけは絶対に許さない。)
二点目に気に食わないのは、こちらもアメリカの映画によくある「テーマパーク化」の現象だ。彼らは観客の興味と理解が途絶えるのを恐れ(つまり観客がそれほど上等な心と頭を持っていないと見下して)、複雑で高度な存在的要素(人間や組織の関係性)を極端に単純化してしまう事がある。本作ではアメリカのフォード社とイタリアのフェラーリ社、フォード社の幹部と主人公たち、それぞれの関係性が完全なる勧善懲悪の姿で描かれている。いかにも本物らしくて楽しい、しかしよく見ると嘘くさい偽物の存在的要素。それは美術館ではなく、テーマパークだ。本作は事実を題材とした作品なので、このような存在的要素のテーマパーク化は非常に不誠実だ。
三点目に気に食わないのは(失礼、もう一点あった)、先と同じように観客を見下しているのか、マイルズの偉大な功績をひとつ削ってしまった点にある。マイルズはレーサーとしてだけではなく、技師としても尋常ならざる存在感を発揮した人物である。映画ではこの「技師のマイルズ」という重要な部品を取り外してしまっている。こちらも一種のテーマパーク化の現象だ。
1960〜70年代の荒っぽい企業同士の自動車レースでは「速く走る」と同時に「長く走る」という技術が求められた。それが当時のフォードには出来なかった。彼らがマイルズとシェルビーを呼び寄せる前に参加した1964年のル・マン24時間レースでは、投入したフォード・GT40が全車リタイアとなった。速くても長く走れるエンジンやそれを巡る各種機構が欠如していたからである。マイルズが技術アドバイザーとしてエンジンと車体の耐久性を究極まで向上させたからこそ、フォード社は勝利を手に出来たのである。
技術改良の描写は地味なので、映像として映える要素ではない。よって娯楽性を優先して、こうした技術的要素は削除したものと考えられる。しかし彼らは観客の興味と理解の力に敬意を払い、短くても構わないので、マイルズが行った技術改良の場面を丁寧に描くべきだった。
存在的要素(関係性)や物理的要素(技術性)をより誠実かつ丹念に描いていたら、この作品は速く利益と評価を得ることが出来なかったかもしれない。だが、長く利益と評価を得ることになっただろう。人生もまた同じような原理に通ずる。目の前の利益と評価ばかりに腐心して、仮にその取り組みが手っ取り早く成功したように思えても、それが長く続かなければ意味がない。人生は耐久レースである。どれだけ速く走れるかではなく、どれだけ最後まで長く走れるかどうかで、栄光を得られるかどうかが決まる。
※画像:DALL-E
作品紹介