映画に感銘を受け過ぎて、ファンタジーの武術を特訓によって再現してしまった超人男の動画。トランプやつまようじを指先ではじくようにして飛ばし、見事に遠くの壁に突き刺している。日本の漫画『HUNTER×HUNTER』でもヒソカというキャラクターがトランプを飛ばして周囲の人々を次々と倒す描写が思い出される。映像トリックなどではなく、彼は本当にこれを己の肉体だけで行っている。
"摘葉飛花(中文「摘叶摘花」)"というのが、このとんでもないファンタジックな必殺技の略称。正式名称は「摘葉飛花、傷人立死(てきようひか、しょうじんりつし)」。これは中国の武侠小説(中華世界の歴史を舞台とした勧善懲悪の物語、いわゆるチャイニーズヒーロー物)に登場する架空の技であり、武術の境地に達した者だけが使いこなすことができる。
動画タイトルは「90后小伙模仿电影练成绝技,表演“摘叶飞花”惊艳网友,原来古代的武功秘籍是真的!(90後の青年、映画を真似て究極の技を習得!"摘葉飛花"を披露してネットユーザーを驚かせる――古代の武術秘伝書は本当に存在した!)」だ。
なぜこの技の名前が"摘葉飛花"なのか。その意味は次の通りだ。
<「摘葉飛花、傷人立死」の意味>
- 摘葉(てきよう):木の葉を摘むことを意味する。ここでは、達人が地面や木々から手に取った葉を示している。
- 飛花(ひか):花びらを飛ばすことを意味している。達人は花びらや木の葉のような軽いものを武器として使用する。
- 傷人(しょうじん):敵を傷つけることを示す。ここでは、花びらや葉を使って攻撃し、相手に深刻なダメージを与えることを表している。
- 立死(りつし):「立ちどころに死ぬ」という意味で、攻撃された者が一瞬で命を落とすことを表す。
つまり、葉や花という身近にある物でさえ、武術の達人に掛かればそれが殺傷能力を持った武器になるというわけである。北宋王朝時代を題材とした、明王朝時代に制作されたファンタジー物語『水滸伝』でも、石を飛ばして相手を倒す投石技術の達人(張清、瓊英)がいたが、その更なる進化系であると言えよう。だが、石による攻撃ならまだ理解の範疇であるが(実際にこの手の武術は存在した)、さすがに葉や花は物理的な問題がある。
とは言え、"中二病"もここまで極めれば美しや。BliBli(中国版のニコニコ動画)などで「摘叶摘花」を検索すると結構色々なレクチャー動画が出て来るので、実際に試したい人は調べてみると良い。
作品紹介